カナダやアメリカの照明カタログでよく見かける
ペンダント照明。
天井からチェーン等で吊り下げられ、下向きのシェードなら
下方向を、上向きのシェードなら天井を主に照らす。
でも、こういう照明デザインって、日本の照明器具では
皆無と言っても過言ではない。
勿論、あるにはあるが、吹き抜け用に特別にデザインされた
ものとして、それ程多くバリエーションがある訳ではない。
これは、日本の家の一般的なデザインであまり吹き抜け
空間を造らないということと、家のプランを上下に部屋を取る
総2階のデザインにして、坪当たりの施工単価を安く
見せようとしていることが原因だ。
もしお疑いなら、坪単価を最も強く意識している建売り住宅の
チラシをご覧頂きたい。そこに掲載されたプラン図を見れば、
私の言っていることが本当だとご理解頂けるはずです。
そういったプランを合理的とか経済的とか言う方も
いるでしょうが、言い換えれば何の面白味もない四角い部屋
の連続でしかないとも言えるのです。
あと、こうした照明を、欧米ではリビングやダイニングに
平気でもっていきます。
人が通らないダイニング・テーブルの上やソファの前の
コーヒーテーブルの上に吊るすのですが、日本の住宅メーカー
のインテリア・デザイナーは、滅多にそういう照明を
使いません。(勿論、中には使う人もいるんですよ)
それは、テーブルの大きさや配置、そのデザインに至る迄
きめ細かくお客さんと打ち合わせたりして、想定するなんて
ことをやっていないですから、場所やデザイン・コンセプトを
固定化してしまうような照明器具を付けることに躊躇して
しまうからなんですね。
逆に、これに見合ったテーブルを後で探しましょうなんて
ことが言えればいいのですが、責任問題になる為か
そういうことも提案しないというのが現実なのかも知れません。
こういう照明を付けると、シェードの中に埃が溜まるなんて
人もいますが、そんなのたまに掃除機で吸えばいいんですよ。
それより、シェードの上にあるアイアンの曲線が、電球の光
によって天井に描く影を想像してみて下さい。
きっと、本物が取り付けられた時には、想像以上の満足感と
驚きが得られることでしょう。
私たちは、そういうことをイメージしながら、皆さんに
輸入住宅のプランニングやライティングの提案をするのです。
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日本の家のデザインでは、取付け出来ない?
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