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Channel: 住まいと環境~手づくり輸入住宅のホームメイド
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こんな施工をする建築屋は、長くは続かない

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雨戸シャッターの脱落


数年前に中古輸入住宅の内装リフォームをさせて頂いたお客様から
雨戸シャッターが外れて落ちてきそうだから、直して欲しい
という連絡を頂いた。

梅雨のシーズンだし、そこから雨が侵入したら大変なことに
なるので、うちのスタッフたちが他の仕事の都合をやり繰りして
見に行ってくれた。

この家は、その方が家を購入される前、外壁のトラブルがあって
前のオーナーが外壁をやり直したらしい。

ただ、その際の施工が不十分であった為、今回こんなことに
なったというのが本当だろう。

何故なら、このシャッターの下地には、昔張られていたであろう
木質系のラップ・サイディングがそのままの状態で残っていたし、
そことスライス・ブリックの外壁材との接点の防水処理が、
いい加減だったのだ。

シャッターの上端には水切りの薄い金属板が付いている。
普通ならこの部分をスライス・ブリックの下にもぐりこませ
上から落ちてくる雨に対処するのが、自然の摂理に基づいた
施工方法だと思うのだが、見ての通り水切りがレンガ・タイル
とほぼ同面だったことが分かる。

また、シャッターを含めた窓周りだけを残す為、その周囲に
ノコギリ(カッター)を入れたらしく、サイディングの下に
入れてある防水紙や構造用合板まで切れ目が入っている。

だから、外壁が動いてそこに僅かな隙間が生じてしまうと
木造の構造体にまで水が侵入してしまうこととなる。

雨が当たった木質サイディングばかりでなく、劣化した構造体の
合板や木材は釘やビスが全く効かなくなる。

胴縁を打って、木質系のラップ・サイディングの下地に通気層を
設けてあれば、こんなことになるリスクはいくらか減ったかも
知れない。また、スライス・ブリックの下地に通気層があれば、
その分シャッターの水切りの上にタイル外壁を被せるだけの
余裕も生まれたはずだ。

施工した建築業者は、スライス・ブリックの下にコンクリートの
サイディングを施工すれば、外壁の防水は十分と考えたのだろうが、
肝心な部分がいい加減だった為に全く意味のない工事になって
しまったと言えるだろう。

外壁材の直貼り施工の危険性、どちらが上でどちらが下になる
べきかという自然の摂理、その場しのぎではない徹底した施工、
建築に対する豊富な知識や経験。こうしたことを分かって
住宅を建てる住宅メーカーって、どれだけいるのだろうか。

こうしたことを理解している私たちですら、自然が起こす
材料の劣化や台風や地震など人知を超えた猛烈な自然の力には
勝てないのに・・・。

ビルダーの良心や勉強度合いって、見積では分からないですよね。

やっぱり、こうした問題を直視し、多くの人にブログやHPなどで
情報公開しいているかどうかが、家づくりのパートナーを
決めるのには、重要ではないでしょうか。

それにしても、これを完璧にするには、結構大掛かりな工事が
必要かも知れません。何をいつどこまでやるかは、お客さんの
家への思いと予算次第で決めていかなければなりません。

その場しのぎの中途半端な仕事をするのでなく、部分的でも
最適な施工を積み重ねて補修していく方法もありだと思います。

家づくりって、やっぱり修行ですね。



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