
これは、ウェンコ(サミット)社製のダブルハング・サッシ。
上げ下げ窓の上窓(アッパー・サッシュ)の写真ですが、
ボトム・フレーム(下枠)が全体的に黒ずんでいるのが
分かりますでしょうか。
ちょっと逆光で見にくいとは思いますが、室内の湿気による
結露というよりは、屋外の雨水が侵入して木枠を徐々に劣化
させたとみるのが、正しいと思います。
アルミクラッドの輸入木製サッシですが、アルミ部分の
納め方には2種類のものがあるようです。
1つは、Roll-out タイプ。これは、木製サッシおよび窓枠の
表面にアルミが巻き込んでいるタイプです。
Roll-out タイプのアルミクラッドは、アルミ板が木部に直接
張り付いた状態になっていますので、アルミ枠のつなぎ目や
枠とガラスとが接する部分の防水コーキングが悪くなると、
雨がアルミ内側に入り込んだり、結露したりします。
その水分は表面張力によって内部に留まりますから、全て木の
フレーム部分に吸収されてしまい、木製部分が腐ってしまいます。
Wenco(Summit)を含めて問題のある多くの輸入サッシは、
Roll-out タイプのアルミクラッドであるのと、防水処理である
雨仕舞いが悪いので木製部分が腐るというクレームが
大量に発生しています。
そして、アルミクラッドのもう1つのタイプが、Extrusionタイプ。
こちらは、アルミ部分を押し出し式に製造し、木製窓枠の外側に
アルミの窓枠がもう1つ取り付いたようなデザインで窓が
造られています。
こちらの場合、アルミが木枠に接するという部分が少なく、
水分は厚みのあるアルミ枠の部分を越えてこないと、
木部に到達することがありませんから、比較的リスクは
小さくなると言えます。
勿論、こうしたアルミの納め方によってだけでなく、
それ以外のサッシの構造的な部分も関係しますから、
一概にExtrusionタイプなら安心という訳でもありません。
こうした問題の多くは、雨の後に窓を全開したり、
日頃窓の防水を気に掛けたりしていれば、コーキングなどで
雨の侵入やそれによる劣化を食い止めることが可能です。
ただ、そういうことを輸入住宅ビルダーの誰一人として
教える人間がいなかったですし、そういう文化を理解して
いない日本人が、格好だけで闇雲に輸入サッシを取り入れた
ことに問題があったと言えます。
木製の輸入サッシは、見た目も美しく国産サッシにはない
デザイン性がありますが、何も手入れしなくていいという
間違った理解では長持ちしないことを忘れないで下さい。
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